上世纪五十年代に東京三越美術部から購入した品物古董品三宝の栞七宝とは古来七種の珍宝を鏤めた美麗さを譬えたものです。佛典に謂う七つの宝物即ち金、銀、瑠璃、玛瑙真珠、珊瑚、玫瑰(マイエ)の七種の美しさを備えておるところから七宝と名づけられ昔から今日迄宝物として珍重秘藏されて参リました。我国ヘの渡来は聖武天皇の御代に印度より来た玻璃彩釉の嵌入した鏡(現帝室御物)が初めてでその後足利義满の時代に中国より輸入当時銀閣寺に於て足利義政が七宝焼を賞玩したと伝えられています。七宝の製法は初め中国から学んでおりますが今日その製品の華麗な色彩と豊かな芸術性は世界的に有名となり外人客には特日本喜ばれております。素地は銅板を用い型を整えて、その上の文樣は銀線をもつて構成この画線に釉藥を施し窯焼き致します。温度は一千度に窯入れの回数は色数により五、六回より十回位行います。直径約:18 cm